【最高傑作】村上春樹「海辺のカフカ」解釈・考察・読む前に注意するべきことを紹介

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 こんにちは。ゆえです。

今回は村上春樹「海辺のカフカ」について解説します。

初めて村上春樹さんの作品を読んだのですが、読みやすく読み応えのある作品でした。

ストーリーよりも村上春樹さんの描写・表現に惹き込まれて、好きになりました。

ただ、多くの解釈があり複雑な構成になっているので「意味がわからなかった」という方も多いと思います。

そんなあなたにおすすめの記事です。

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海辺のカフカ

概要

タイトル:海辺のカフカ

作者:村上春樹

出版社:新潮社

発行:2002年9月10日

書籍:上下巻の2冊

複数の“データ”によって語られていく、3人のストーリー。

※ホラーではありません。

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作者:村上春樹について

あらすじ

【上巻】

 父親の呪縛から逃れるために家出し四国へ渡った田村カフカ

“世界でいちばんタフな少年になりたい”と思った彼は、図書館の大島さんや佐伯さんに出会い、助けられる。

 小学生の頃の奇妙な事故により知能が低下してしまったナカタサトル

猫と話せる彼は猫を探していると、ジョニーウォーカーと名乗る男が猫の魂を食べるという場面に遭遇する。

そして、ジョニーウォーカーを殺してしまうナカタ

そして、中野区から四国へヒッチハイクで移動していると、空から突然大量の魚が落ちてきた。

 夫と交わる夢を見て、月経が始まってしまった女性教師

小学生の生徒にそれを見られ、反射的に暴力を振るってしまう。

その後、自分以外の生徒全員が原因不明に次々と倒れるという奇妙な事件が起こる。

命に別状はなかったものの、なかなか目を覚さなかった生徒がいた。

その生徒の名前は確か、ナカタサトルと言った。

【下巻】

 田村カフカは佐伯さんに恋をして、実の母ではないかと仮説を立てる

そして「海辺のカフカ」という曲とともに、考えを巡らせて新たな世界へと進む。

 ナカタさんはヒッチハイクで出会った若い男性 ホシノと共に、感覚だけを頼りに“入り口の石”を求めて旅をする。

二人ともに直接的な関わりはないものの、周りの登場人物がふたつの物語をつなげる。

物語を通して、読者一人ひとりに解釈を託す。

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感想

上巻は、データがどうつながるのか分からないので、ただ別々のストーリーを楽しめます。

詳しい経緯も書かれていないので、ふしぎな感覚でした。

村上春樹さんの作風、描写に惹き込まれました。

読みやすくて読み応えのある作品です。

情景、心情描写が細かく正確で、作品に入っていく感覚です。

下巻ではだんだんと結末に近づいて、物語がつながっていきます。

出来事は分かりやすいのですが、それが何を意味するのかを理解するのが難しいです。

 次の“読む前に注意すること”では、私がこの作品を読んで何を学んだかなども書いています。

自分なりの解釈(ネタバレあり)も書いているので、ぜひ参考にしてください。

読む前に注意すること

 私がこの本を読んで、実際に考えたこと・学んだことを紹介します。

もっと「海辺のカフカ」を楽しめるポイントなので、読む前にぜひ参考にしてください。

物語にのめり込んで考える時間を与えてくれた

 単純なストーリーではないので、読み終わった後に考えることが多い印象でした。

どういったつながりがあるのか、読者に何を伝えたいのか。

答えが出なくても、そうやって一つの物語に時間をかけてのめり込むような時間が少なくなっていると気づけました。

考える時間を与えてくれたことがすごくいいと思いました。

その後にネット等で解釈を調べてみると、より楽しめるかもしれません。

どんな解釈があってもいいということ

 私は実際に解釈を調べてみましたが、本当に人それぞれ感じ方が違うんだと感じました。

作中にも明確な答えがないので、どんな解釈があってもいい、ということを伝えたかったのかと考えています。

考え方の自由がある、ということを学んだことが印象強かったです。

柔軟性、想像力が大切だということ

 主人公たちは作中でふしぎな人に出会ったり、ふしぎな場所に行ったりします。

それが幻想なのか、現実なのかは分かりません。

でも家出した田村カフカや感覚だけを頼りに生きるナカタさんのように、柔軟性と想像力溢れる人生はとても濃いなと思いました。

人生はこうやって、多くのことを体験して感覚を頼りに生きていくからこそ色の濃いものになるんだと学びました。

どんなことにも決められた形はないということ

 田村カフカが図書館で出会った大島さんにはある秘密がありました。

このことから、どんなことにも決められた形はないし、現代社会の決まりは誰かが勝手に決めたものに過ぎないと思いました。

思考も外見も自由でいいんだと感じました。

何を意味するかが分からなかった

 前述している通り、結末自体は理解できるのですが、それに何の意味があるのかが分かりませんでした。

ミステリー小説が得意な方は、自分なりの解釈が見つけられるかもしれません。

人と違っていても、自分なりの解釈を出してみる、ということはすごく大切だと思います。

そうすることで、もっと自分なりにこの作品を楽しめると思いました!

 深く読み取るのは難しいけど、作中で出てくる神話・小説がヒントになっているのではないでしょうか。

そこにも注目して読んでみてください。

途方もない旅に出かけてみる、という自由さ

 田村カフカとナカタサトルに共通していることは、“途方もない旅に出かけた”ことです。

もう帰らないつもりで家出し、いつ終わるか分からないヒッチハイクで旅をした。

このような飛び抜けた考え方、自由な思いが今の私たちにはないと感じました。

人生の広大さを読書で感じられた感覚です。

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ネタバレ・考察

 自分なりの解釈を紹介します。

ネタバレを含むので注意してください。

・カラスと呼ばれる少年

・佐伯さんが愛した“彼”

・田村カフカ

は同一人物だと思いました。

これは田村カフカの仮説に基づいた考察です。

そして田村カフカの父 田村浩一は、ナカタさんが殺したジョニーウォーカーで、母は佐伯さん姉は夜行バスで出会ったさくらさんだったと考えます。

本当は違うかもしれない、でもそう思ってもいいということを学んだ気がします。

大島さんは女性として生まれたが、生理や胸の膨らみはなく、心は男性だが男性気もないというふしぎな人でした。

すべては“海辺のカフカ”という絵の中の登場人物の物語で、ふしぎな出来事を繰り返した後に家出からまた東京に戻るという結末です。

メタファー…隠喩のこと。
カフカ…チェコ語でカラスという意味。

最後に

 解釈が難しい作品ですが、神話や小説の中にヒントがあると思いますし、自由な考え方ができるのでおすすめの作品です。

読みやすい、というのも大きなポイントです!

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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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