こんにちは。ゆえです。
今回は2023年11月に映画化した話題作「正欲」の解説・紹介をしていきます。
水に性的な感情を抱く、社会に理解されない主人公たちの物語です。
一度読むと見える世界がガラッと変わります。
新たな視点で生きることになるので注意とお伝えするくらい、影響力の強い作品でした。
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概要
タイトル:正欲
作者:朝井リョウ
代表作:「桐島、部活やめるってよ。」「少女は卒業しない」など
出版社:新潮社
発行:2021年3月25日
メインキャスト:稲垣吾郎(寺井啓喜 役)、新垣結衣(桐生夏月 役)
映画公式サイト:https://www.bitters.co.jp/seiyoku/#
原作公式サイト:https://www.shinchosha.co.jp/seiyoku/
あらすじ
ネタバレなし
水が噴き出すことに性的に興奮するという佐々木佳道と桐生夏月。
二人はそれぞれ死にたい、と思いながら生きていた。
そして同じように水に恋愛感情を抱きながらも、周りから理解されず勝手に言いくるめられて生きている諸橋大也。
三人は、この世界で生きるために手を組むことにした。
息子が不登校になりYouTubeを始めたことを受け入れられない寺井啓喜、兄の秘密を見てしまったことで男性に恐怖心を抱くようになった神戸八重子。
“普通”じゃないことに苦しみ、もがきながら生きていく主人公たちの物語。
ネタバレあり
学校生活のとある日、水を噴き出すために蛇口を破壊した男が逮捕されるというニュースが話題にのぼった。
その日の放課後、蛇口がある校舎裏で会った佐々木佳道と桐生夏月は、何も語らなくても互いにすべてを悟った。
それから数年後に再会した二人は、お互いを救うために同棲生活を始める。
寺井啓喜が担当する事件で、児童ポルノに関する事件があった。
それは大人数名が、公園で児童の写真を無断で撮るというもの。
しかしその写真はどこにも拡散されることなく、その少数の中でのみ共有されているようだ。
容疑者の一人、佐々木佳道の妻に話を聞くと、その日夫がどこに行っていたかすら知らなかったと話した。
興味や驚き、失望などはまったくなかった。
どんな感情を持っても、仲間が一人いることによって互いに支えることができる。
毎日「明日死にたくない」ことを前提とした話の一つ一つに心をえぐられながら生きる人たちの、すべてが書かれた物語。
読む前の自分には戻れない。
感想
多様性に関する書籍が増えている今ですが、この一冊は格別だと思いました。
多様性、ジェンダーと騒がれる世の中で、その枠にすら納まらない、
社会にはあってはならないものとされるものに恋愛感情を持つ。
作中に登場する人たちの息苦しさは、想像したことがなく、知っても想像しかすることができず衝撃を受けました。
心に重く響き、深く考えさせられました。
読んで衝撃を受けました!
見える世界が変わります!
暗く、重いストーリーではありますが、生きることに希望を持てる作品でもあります。
登場人物たちは、徐々に同じ考えの人と出会ったり、分かり合おうとしたりします。
そのシーンにはすごく大きなエネルギーを感じた気がします。
マイノリティに当てはまらない人、と軽蔑されてきた人たちがこの世界にはたくさんいると初めて分かった気がします。
好きになることに特別も何もない、ということを知りました。
特に、ラスト神戸八重子と諸橋大也の会話には勇気や覚悟をもらえます。
八重子の言葉が、今も印象に残っています。
異性が好きな人にも悩みはあるし、マイノリティに当てはまらない人にも悩みがあって、それは比べるものでも分かり合えるものでもない。
本文より引用
めちゃくちゃ納得すると同時に心を動かされました。
人は常に周りと比べて生きているな、と実感しました。
それで分かり合えない悩みがたくさん出てくるけど、どんな人もそれがわかる人とつながりを持つことによって生きていられる。
「いなくならないから」と言われることがどれほど嬉しいか、その言葉の温かさを感じて感動しました。
映画では寺井啓喜と桐生夏月がメインらしく描かれていますが、個人的には佐々木佳道と桐生夏月が中心だと思いました。
二人の言葉一つ一つが重く、考えさせられる意味を持っています。
登場人物相関図
キャスト紹介
※【登場人物名…役者名】
【寺井啓喜…稲垣吾郎】
息子が不登校になる。YouTubeを始める息子に驚きを隠せず、家族との意見の衝突に悩む毎日。
担当する事件を息子との出来事を振り返りながら、新たな目線で捜査する。
【桐生夏月…新垣結衣】
水に性的な感情を抱き、他人の恋愛には興味がない。
他人には干渉せずに生きようとして、仕事仲間と衝突したところ、佐々木佳道と再会する。
【佐々木佳道…磯村勇斗】
マイノリティに当てはまらない自分なんて死んでしまえばいい、と思って生きていた。
そんな時桐生夏月と再会し、手を組むことを決めた。
【諸橋大也…佐藤寛太】
容姿が整っているが、普通の人とは違う恋愛観を持ち、それを理解されずに抱えている
佐々木佳道、桐生夏月とネット上で出会い、手を組むことにするが…神戸八重子に話しかけられる。
【神戸八重子…東野絢香】
恋愛対象は男性だが、引きこもりの兄の秘密を知ってしまってから男性に恐怖心を抱く。
そんな彼女が唯一恐怖心を抱かなかったのは諸橋大也だった。
最後に
この作品は間違いなく、読んだあなたに大きな気づきを与えてくれます。
多様性、LGBTQ、ジェンダーが話題となる今こそ、読むべき一冊です!
読みやすく、内容も入ってきやすいのでおすすめです。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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